
派遣社員が同じ会社・組織で働く場合、抵触日によって3年以上継続することは認められていません。このページでは、派遣の抵触日の定義や制度の詳細、抵触日を過ぎた場合の対応について紹介します。
目次
派遣の抵触日とは?
派遣の抵触日の概要と抵触日が設けられた理由についてお伝えします。
抵触日とは?

派遣の抵触日とは、派遣期間が切れた翌日のことを指します。抵触日を迎えた派遣社員は翌日以降同じ会社で働き続けることが認められていません。派遣先の企業も一定期限を超えて同一の派遣社員を働かせられないため、派遣社員と企業の双方が抵触日を意識する必要があります。
2015年の労働者派遣法改正に伴い、派遣可能な期間は3年までに定められました。例えば、2025年1月1日が派遣社員を受け入れた日なら、2028年1月1日が抵触日です。
<参考|厚生労働省>
抵触日が設けられた理由
抵触日が設けられた理由は安定した雇用を進めるためです。
従来、派遣社員を雇用できる業種は専門性の高い26職種に限定されていました。しかし、派遣雇用できる業種が緩和された結果、派遣の目的が人件費削減になり、派遣社員が正社員と同じ仕事をする状況になりました。
抵触日を設けなければ人件費削減を目的に派遣社員を雇用する会社は減りません。そこで、労働者が正社員として安定して雇用される状況を作るために抵触日が設けられています。
派遣の抵触日の種類
派遣の抵触日は事業所単位と個人単位の2種類のみです。
個人(組織)単位の抵触日

個人(組織)単位の抵触日とは、一人の派遣社員が同じ事業所で働ける派遣期間の抵触日です。厚生労働省によると、以下のように定義されています。
- 業務としての類似性や関連性がある組織
- 組織の長が業務配分や労務管理上の指揮監督権限を有している
ここで定義される組織単位とは、部門や課、グループを指します。例えば、同一の会社であっても最初は営業部に配属されていた人が3年後の抵触日を過ぎたときに人事部に配属されることは問題ありません。
事業所単位の抵触日

事業所単位の抵触日とは、ひとつの事業所で派遣社員を継続雇用している派遣期間の抵触日です。厚生労働省によると、以下のように定義されています。
- 工場、事務所、店舗など、場所的に独立している
- 経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立している
- 施設として一定期間継続するものである
事業所単位の考え方は雇用保険の適用事業所単位と同じです。支店や出張所の規模が小さく人事や経理などの機能がある場合、ひとつの事業所として取り扱われます。
同一事業所で派遣社員を受け入れる期間の上限は原則3年までです。もし、3年を超えて派遣社員を受け入れる場合、抵触日の1か月前までに派遣先の事業所の過半数労働組合などに意見聴取を行う必要があります。
<参考|平成27年労働者派遣法改正法の概要>
事業所単位と個人(組織)単位の期間制限の関係
事業所単位と個人(組織)単位の期間制限は事業所単位が優先されます。もし、個人(組織)単位の期間制限に達していなくても、先に事業所単位の期間制限に到達した場合、事業所の派遣期間を延長しなければなりません。
派遣の抵触日を迎えたときの対応
派遣の抵触日を迎えたとき、派遣社員は原則同じ組織の中で働くことができません。その後の働き方については派遣会社や派遣先と相談し、延長手続きや直接雇用などの選択肢をとることになります。
派遣社員がすべき対応
抵触日を迎えた派遣社員は、原則として同じ組織で働くことができません。今後も派遣社員として勤務するか同様の業務につく場合、以下の選択肢で働きます。
- 派遣先の会社で直接雇用される
- 派遣先の会社の別組織で働く
- 別の派遣先の会社で働く
業務スキルを活かしたい場合、同じ会社で直接雇用されるか別の派遣先を紹介してもらいます。直接雇用は契約社員やパート・アルバイトでの雇用も考えられるため、正社員とは限りません。
派遣社員として同じ勤務先を希望する場合、別の部門や課で働くことになります。ただし、業務内容がこれまでと異なるためスキルや経験が活かせない可能性がある点は注意してください。
派遣先の会社がすべき対応
抵触日以降、同じ派遣社員を継続して受け入れたい場合は以下のような対応をします。
- 派遣社員を直接雇用する
- 派遣可能期間を延長する
- 別の組織で派遣契約する
同じ派遣社員を3年以上雇用したいと考えているなら、おそらく慢性的な人手不足の課題があり、その派遣社員の方の働きぶりや人間関係は申し分ないと考えているはずです。派遣会社と派遣社員の了承を得て直接雇用するのがよいでしょう。また、3年以内であれば派遣期間の延長も可能です。
もし、同じ派遣社員に別部門で働いてほしい場合、3年後も継続的に派遣社員として雇用できます。
派遣の抵触日に関するよくある質問
派遣の抵触日についてよくある質問をまとめました。
抵触日に違反した場合はどうなる?
抵触日以降も人材を派遣した場合、派遣会社は労働者派遣法第61条第3号に基づき30万円以下の罰金と行政指導を受けます。派遣先の会社も行政指導が行われ、指導に従わない場合は会社名を公表されるリスクもあるため注意しましょう。また、直接雇用を申し込んだとみなされる「労働契約申込みみなし制度」が適用される可能性があります。
60歳以上に抵触日は関係ある?
60歳以上の派遣社員は抵触日の制限を受けません。また、ほかにも抵触日の制限を受けないケースがあります。
抵触日の制限を受けない派遣社員の条件は以下の通りです。
- 無期雇用されている派遣社員
- 日数限定業務に従事している派遣社員
- 産前産後または育児、介護休業している社員の休業期間中に代替業務をしている派遣社員
- プロジェクトの終了期間が明確な業務に従事している派遣社員
休業する社員の代替業務には引継ぎ期間も含みます。
派遣可能期間を延長するには?
派遣可能期間を延長するには事業所ごとに手続きが必要です。意見聴取を行い、回答結果をもとに事業所の社員および派遣会社への結果を通知します。延長に関するフローは以下の通りです。

まとめ
派遣社員の抵触日についてお伝えしました。派遣社員の雇用目的から生まれた法律のため、一定期間を超える場合、会社側は自社で直接雇用することを検討するようにしてください。
また、労働者からすると抵触日を超えて働くときは直接雇用が権利になりえます。イカイジョブでは派遣社員の方が権利を守って働ける職場をご紹介しますので、ぜひ求人応募をご検討ください。