単純作業は、作業がマニュアル化された繰り返し作業のことを指しますが、楽しいと言う人もいれば辛いと言う人もいて、向き不向きが大きく分かれるお仕事と言えます。
一口に単純作業と言っても業界によって仕事内容は異なるため、自分が向いているかどうか悩んでいる人もいるかもしれませんね。この記事では、単純作業の仕事内容やメリット・デメリット、どんな人が向いているか、楽しんで働くにはどうすれば良いかを解説していますので参考にしてみてください。
単純作業とは
単純作業は、仕事の流れや作業工程が定型化されていて業務範囲や環境の変化が少ない仕事です。
日常的に同じ作業を繰り返し行うことから「ルーティンワーク」とも呼ばれ、製造業や倉庫業などでよく見られます。作業はシンプルで簡単ですが、一定の作業スピードやクオリティを保つ必要があるので根気が必要と言われています。
ここからは単純作業と呼ばれる作業の具体的な仕事内容について解説していきます。
倉庫作業員
倉庫での単純作業は、荷物の仕分けやピッキング、検品、梱包など入庫から出庫までの一連の流れで発生し、作業や工程ごとに分担するのが一般的です。
軽作業として人気があり、日勤や夜勤、交替勤務などの勤務シフトのほか派遣社員、パート・アルバイトなどさまざまな働き方が選択できます。
倉庫内作業の具体的な仕事内容は以下の通りです。
●仕分け作業
入荷した商品や製品などを指定された条件に基づいて分類していきます。
商品の種類やサイズごと、出荷先ごとなど商品や用途に合わせて分類することで、倉庫内の整理整頓や作業の効率化が図られます。
●ピッキング作業
出荷指示書に従って商品や製品を倉庫の保管場所から取り出し、指定された場所へ集める作業のことを指します。
ピッキングには1つの出荷オーダーごとに商品を集める「摘み取り方式」と複数の出荷オーダーの商品を集めて出荷先ごとに振り分ける「種まき方式」があり、商品の保管状況や出荷指示に応じて使い分けられます。
商品や製品はバーコードで管理されていますので、ハンディターミナルやスマホで読み込むことで商品や製品が指示されたものかどうかを確認することができます。
●検品作業
検品作業には大きく分けて「入荷検品」と「出荷検品」の2つがあります。
入荷検品は入荷・入庫する際に行われ、商品や数量に間違いがないか、キズや破損の有無など品質に問題がないかを確認します。
出荷検品は、出荷する商品にキズや破損がないか、出荷指示書通りの商品や数量が揃っているか、正しく包装・梱包されているかを確認します。
検品にミスや見逃しがあると、間違った商品や数量、不良品を顧客に届けてしまい、クレームの原因となるため注意が必要です。
●梱包作業
梱包作業は、製品や商品をダンボールなどの梱包材に詰めて出荷できる状態にする作業のことです。
梱包方法は製品や商品の特性に合わせて選択され、輸送中にキズや破損が発生するのを防ぐ配慮が必要です。
工場作業員
工場での単純作業は、ものづくりに関わるライン作業や機械加工補助、検査、運搬など経験や知識がない未経験からでも始めやすい仕事です。
工場によって日勤や2交替・3交替・夜勤などライフワークに合わせた働き方が選択できます。22時〜翌5時までの深夜時間を含む夜勤勤務では、時給×25%の深夜割増手当が付与されて収入アップが見込めます。
工場作業員の代表的な仕事内容は以下の通りです。
●ライン作業
ライン工程での単純作業は、効率よく作業できるように生産工程を細分化した作業を分担して受け持ちます。
例えば、組立・組み付け工程では、担当する工程の部品の取り付けや電動ドライバーでのネジの締めなどを繰り返し行います。作業スピードは作業内容や製品によって異なり、シンプルになるほどラインスピードが速くなる傾向にあります。
未経験からだと慣れるまでは早く感じることがありますが、数日の内に習得できることがほとんどです。
●機械加工
工場の機械加工は機械オペレーターやマシンオペレーターとも呼ばれ、部品を指定された機械を使用して加工する作業です。
部品を機械にセットしたらスイッチをオン、加工が終わったら取り出して目視で確認する作業を繰り返します。一部のオペレーター業務はスキルや経験が必要になりますが、未経験歓迎の求人の多くはスイッチを入れるだけであることが多いため、難しく考える必要はないでしょう。
作る製品が切り替わる場合は機械の設定を変更したり、使用する部品を交換したりする作業が発生します。
個人単位での作業が多く、一定のスピードを保つ必要はあるもののコツコツ作業がしやすい仕事と言えます。
●検査
検査作業は大きく分けて、目で見てチェックする目視検査と検査器具や装置を使用する測定検査があります。
目視検査では、食品製造であれば異品の混入や調理・盛り付けに問題がないか、包装・梱包が適切にできているかを確認し、規格外品があった場合は取り除きます。部品製造であればキズや汚れ、変形など外観に問題がないか、部品の付け忘れがないかなどを確認し、異常があれば取り除きます。
製品によっては検査装置でも検査が行われていますが、完璧ではないため人の目での検査が必要になります。
測定検査では、寸法や重量、機能、強度などが指示通りになっているかを検査器具や装置を用いて確認します。精密な部品の測定検査では正確性がより重視されるため、座って作業をする場合もあります。製品の機能や安全性に関わることが多く、慎重さが求められる作業です。
●運搬
工場の運搬作業は生産ラインに必要な部品を供給したり、製品を出荷場所や所定の置き場まで運んだりします。軽量なものから重量物まで運ぶものは様々で、工場内を歩き回ることも多いためある程度の体力が必要です。また、複数の製品を製造している生産ラインでは、生産の順序に合わせて運搬する必要があるため、必要な数量をタイミングを計りながら運搬します。
運搬には、台車やハンドリフトなど資格が要らない場合もありますが、部品・製品の入出荷や大型製品の運搬になるとフォークリフト資格や玉掛け・クレーン資格が必要な場合があります。
入社後に資格がとれる、資格取得支援制度を導入している企業も多くありますので、未経験で工場の運搬作業を希望する場合は問い合わせてみてもよいでしょう。
●内職
内職の単純作業は、部品の組み付けや製品へのシール貼り、梱包作業などがあります。工場や企業から仕事を請け負い、自宅で作業を行います。
雇用契約ではなく業務請負として行う場合がほとんどで、納期に間に合えば勤務日や時間を自由に設定することができるため、空き時間を使って働くことができます。
ただし、内職は時給制ではなく出来高制のため、稼ぐには効率よく大量にこなす必要があり、多くの収入を得たい場合にはあまり適さない働き方であると言えます。
●データ入力
指定のフォーマットに入力していくだけのデータ入力も単純作業と言えます。
入力内容は注文内容や顧客情報、手書きのアンケートの回答、ECサイトへの商品登録など様々で職種や雇用形態によって入力する内容は変わってきます。
PCやExcelなどのソフトの基礎知識、一定程度のタイピングスキルがあれば専門知識は必要ないことが多いため、比較的ハードルは低いと言えるでしょう。
ただし、雇用先や依頼主によって求められるレベルが異なるため、自分のスキルに合った仕事を選ぶ必要があります。
●清掃作業員
清掃作業員は、工場や商業施設、オフィスなどの床や窓、洗面台・トイレなどを手順に従って清掃します。照明器具やエアコンを清掃する場合は、高所での作業が含まれます。
施設の休業・休館日に清掃を行う場合が多いため、夜間や土日祝日の勤務があります。
●交通誘導員
交通誘導員は、道路工事や建設工事現場、ショッピングモールなどの駐車場での安全の確保や、混雑の軽減のため歩行者や車両の誘導を行います。
未経験の方が交通誘導員の仕事に就く場合は、警備の知識や技術を習得するために新任教育を受講する必要があります。これは、正社員や契約社員、アルバイトなど雇用形態に関わらず受講しなければなりませんので覚えておきましょう。
●ルート配送ドライバー
ルート配送ドライバーは、担当するエリアの個人宅や会社、店舗などに荷物を運搬や集荷する仕事です。
配送する荷物は食料品や資材、日用品など様々で、配送する順番や時間などあらかじめ決められた通りに行います。配送時に空になったコンテナを回収する仕事もあります。
事故を防止するために車両の点検や配送ルートで工事や事故がないかチェックするのも大事な仕事です。
単純作業の仕事に就くメリット
ここからは単純作業にはどんなメリットがあるのかを解説していきます。
就職や転職のハードルが低い
単純作業には日勤や交替勤務などの勤務シフトのほか、契約社員や派遣社員、パートアルバイトなどさまざまな働き方が選択できることは前述の通りです。
資格や経験を必要としない求人が多いため、求職者が自分のライフスタイルに合わせて仕事探しができるメリットがあります。
仕事が簡単だから覚えやすい
単純作業は専門的なスキルを必要としない仕事がたくさんあります。シンプルで簡単な作業が多く、短期間で覚えることができるため、就業後の早い段階から活躍することができます。
ルーティンワークでイレギュラーが少ない
単純作業は同じ作業を繰り返し行うことから、変化が少ないルーティンワークです。
変化を求める人にとっては物足りないと思われがちですが、臨機応変な対応が苦手な人やマイペースでコツコツ作業が好きな人にとってはメリットとなります。
コミュニケーションが必要最低限で済む
単純作業の職場では、作業の正確性や作業効率、安全性の面からほとんど場合作業中の私語が禁止されています。
そのため、ひとりで集中して作業したい人やコミュニケーションを取るのが苦手な人にとって、業務上の報告や連絡などの必要最低限のコミュニケーションで済むことは大きなメリットです。
単純作業の仕事に就くデメリット
単純作業に就くメリットが理解できたところで、ここからはデメリットについて解説していきます。就業後に「こんなはずじゃなかった」とならないようしっかり把握しておきましょう。
飽きる・眠くなる
同じ動作や作業を繰り返す単純作業では、変化が少ないため集中力が切れて飽きてしまったり、眠気を感じたりすることがあります。イメージとしては長時間高速道路を運転している感覚に近いかもしれません。
仕事に慣れるまでは時間が過ぎるのが早く、飽きにくいかもしれませんが、慣れれば慣れるほどその感覚を感じやすくなります。
解決策としては、自分の中で個数や時間などノルマを決めて集中して作業し、クリアしたらストレッチ、座り作業なら立ち上がって血行を良くするなど身体を動かすことで気分転換をして、集中力を高めるのが良いでしょう。
作業によっては身体に負担がかかる
作業の内容によっては、身体の一部に負担がかかる場合があります。
例えば、電動ドライバーでネジを締める作業では、繰り返すことで手首に負担がかかったり、腕に力を入れることで肩こりに繋がったりします。また、同じ姿勢を維持する必要がある場合は、腰や背中、脚に負担がかかり痛みを感じることがあります。
目視検査やパソコンの入力作業では目を酷使するため、目の疲れやひどくなると肩こりや頭痛に繋がることもあります。
ピッキング作業では1日1万歩以上歩き周ることもありますので、足腰に疲労が溜まりやすくなります。
ダイエットをしたい人にとっては歩くことで痩せる効果が得られる場合があります。
他のスキルが身につかない
単純作業は一貫して作業をこなすことは少なく、一定の作業のみに留まることがほとんどです。そのため、自分の担当する作業以外は関知しないことも多く、他のスキルを身につけようとしても難しいでしょう。
スキルを磨きたい人は、応募時や面談時に採用担当者に相談をしてみることで、定期的な配置転換が可能な場合もあります。
将来的にAIやロボットで自動化される可能性がある
人手不足問題が深刻化する今、AIやロボットの導入を推進する企業や工場が増えています。単純作業はシンプルで簡単な作業が多いため、将来的にAIやロボットに置き換わる可能性があります。
全ての作業が自動化できるのはまだまだ先のこととは言え、長期での就業を考えている人は視野に入れておきましょう。
単純作業に向いている人の特徴
単純作業は、同じ作業を繰り返すことに苦を感じない、ルーティンワークが好きな人に向いている仕事です。
ここではさらに単純作業に向いている人の特徴を深掘りしていきます。自分が該当するかチェックしながら読み進めてみてください!
ひとりの作業が好き
単純作業は、コミュニケーションが最低限で済む特徴があることから、ひとりが好きな人や人と関わらない仕事が良いという人に向いていると言えます。
また、友人や家族と一緒にいても、外部の刺激に左右されずにコツコツと作業に取り組める人にも向いているでしょう。
集中力・忍耐力がある
同じ作業を繰り返す単純作業では、長時間集中力を持続させる必要があります。集中力が切れてしまうと思わぬ事故や品質の低下、不良の見逃しに繋がります。
そのため集中力を保つ体力と持続させる忍耐力がある人が単純作業に向いています。
作業効率やスピード感を意識して作業ができる
単純作業には、ライン作業と個人作業があることは前述しました。
ライン作業は一定のスピード設定がされているため、一定の時間で作業を完了させる必要があります。
一方個人作業では作業スピードは自分で管理する必要があります。同じ作業の繰り返しでも少しの工夫で格段にスピードがアップすることも!
教えられたとおりに何となく作業を繰り返すだけでなく、自分なりに創意工夫をすることで作業のクオリティが上がり、モチベーションを高く維持することができます。
単純作業に向いていない人
常に新しいことにチャレンジすることが好きな人やクリエイティブな作業を求める人にとっては単純作業は向かない傾向にあります。
ここからは単純作業に向かない人の特徴をさらに掘り下げて解説していきます!
ルーティンワークが苦手
同じ作業の繰り返し=ルーティンワークが苦手な人は単純作業にむきません。
経験や知識がない人も仕事を探しやすいことから安易に就職を決めてしまいがちですが、就業後「こんなはずじゃなかった」と短期間で辞職してしまう人も少なくありません。
自分がルーティンワークに向いているのかを見極めることが大切です。
挑戦することにやりがいを感じる
常にチャレンジ精神を持って課題に取り組むことが好きな人も単純作業に不向きと言えます。
単純作業の職場では、特定の作業以外に関わることがほとんどありません。就業してまもなくは、作業を習熟するという課題にチャレンジすることでやりがいを感じますが、作業を覚えた後は同じ作業の繰り返しとなるため、変化がなくつまらなく感じるようです。
そんな場合でも、作業習熟後に自分で挑戦する課題を見つけることができればモチベーションアップに繋がって行くケースもあります。
人と話すのが好き
単純作業では、安全や衛生、品質面から作業中の私語は禁止されている場合がほとんどです。そのため人とコミュニケーションを取りながら仕事を進めたい人は単純作業に不向きと言えます。
休憩時間にはコミュニケーションを取ることができますが、人によっては一人でいたい人や寝たい人も。とにかく人と話すことが好き!という人にとってはコミュニケーションが取りづらいと感じるでしょう。
単純作業を楽しむコツ
ここからはいかに単純作業を楽しむか、を解説していきます。
単純作業に自分は向いている!と感じた人は、より楽しく単純作業の仕事に就けるコツをチェックしましょう!
自分に合った仕事を選ぶ
単純作業に限らず「自分に合った仕事を選ぶ」ことは仕事探しの重要ポイントです!
単純作業には、業種・職種・働き方の選択肢が幅広くあります。単純作業の仕事を探すときには、就業条件や福利厚生だけでなく、扱う製品や作業内容にも着目しましょう!
自分が興味のある製品や好きなことから業種・職種を選ぶことでモチベーションアップに繋がります。例えば、運動が好きな人は一日中歩くピッキング作業、お菓子が好きな人は休憩時間に食べ放題特典があるお菓子の検品作業など。
「自分に合った仕事=自分が好きと思えること」から仕事を探し就業することで、楽しく働くことができます。
目標を設定してメリハリをつける
単調な作業の単純作業では、細かな単位で自己タスクを設定し達成することで達成感とモチベーションアップに繋げることができます。
難しいタスクではなく「〇時まで頑張る!」や「〇時までに△個仕上げる」などでもよいでしょう。
また作業の合間にはストレッチや仮眠を取ることで気持ちを切り替え、再集中できるようメリハリをつけることも大切です。
作業効率やクオリティを高める工夫をする
目標設定同様、作業内容に自己タスクを設定することでも楽しく働くことができるでしょう。
作業の効率や品質に関するタスクを自らで設定し、達成することで自己スキルアップを目指せモチベーションアップに繋がります。
有期社員や派遣社員で単純作業の仕事に就く場合には、これを繰り返すことで会社への貢献度に繋がり、正社員登用のチャンスに繋がるかもしれません。
まとめ
今回は倉庫作業・工場作業の単純作業を中心に解説しました!
単純作業のお仕事を探している人、すでに就業中で悩んでいる人に少しでも参考になればうれしいです。
単純作業は未経験からでもチャレンジしやすいお仕事です。
イカイジョブでも工場作業を中心に単純作業のお仕事を掲載していますので自分に合うお仕事や働き方を見つけてみて下さい!