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製造業の残業時間の平均はどれくらい?残業が多くなる理由や対処法を解説

製造業の残業時間の平均はどれくらい?残業が多くなる理由や対処法を解説

こんにちは。工場・製造業求人サイト「イカイジョブ」の編集部です。
製造業は納期に間に合わせるために残業をするという状況が起きやすい業種のひとつです。残業するのが当たり前という環境に置かれている方も多いかもしれません。この記事では、製造業の残業の実態、何故残業が多くなるのか、製造業はやっぱりキツイのかなど気になるところを解説していきます。

製造業の平均残業時間はどのくらいあるの?

残業が多い、というイメージがある製造業ですが、実際はどうなのでしょうか?
一般社団法人 日本経済団体連合会が行った「2020年労働時間等実態調査(※)」によると、製造業の2019年の年間残業平均は180時間となっており、前年2018年の193時間から大幅に減少しています。これは2019年から段階的に施行された「働き方改革」による影響が大きいようです。
※日本経済団体連合会HP「2020年労働時間等実態調査」

業種別の平均残業時間

働き方改革により減少している製造業の残業時間を、他の業種と比較してみます。
一般社団法人 日本経済団体連合会が行った「2020年労働時間等実態調査(※)」を見てみると、製造業の労働時間や残業時間は、建設業やサービス業などの非製造業より下回っていることがわかります。

総実労働 年間平均(単位:時間)時間外労働時間 年間平均(単位:時間)
製造業1987時間180時間
非製造業2014時間189時間
全体2000時間184時間

※日本経済団体連合会HP 2020年労働時間等実態調査

製造業の残業代はどのくらいもらえる?

厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報(※)」の、業種別の残業手当などの所定外給与を見てみると、

所定外給与所定外労働時間(月)
電気・ガス業53,057円15.2時間
運輸業・郵便業47,223円25.9時間
情報通信業34,651円16.5時間
製造業33,812円15.9時間
学術研究等29,780円15.0時間

となっており、製造業は調査対象17業種の4番目に多い結果となっています。
残業時間では3番目に少ない業種のため、残業代・残業時間のバランスがよい傾向にあると言えます。
運送業・郵便業は残業代が2番目に高い業種ですが、残業時間も多くなっています。

※厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」

製造業の残業が多くなる要因

統計からみると製造業の残業は月平均15時間〜16時間となっていますが、生産品や工場により残業時間はさまざまで、月40時間〜50時間の残業を必要とする工場もあります。ここからは製造業の残業時間が多くなる要因について解説していきます。

残業ありきの生産計画

工場によっては、残業で生産計画を達成できる場合には増員せず、現状の生産体制で計画を組みます。増員するより残業で対応した方がコストを抑えられると判断した場合にそのような対応が見られます。24時間稼働していない工場では、次のシフトが始まるまで時間があるため、残業が多くなる可能性があります。また、予期せぬトラブルや需要の急増などが起こった場合には、計画に上乗せされて残業が発生する場合がありますので注意が必要です。

繁忙期の増産

季節性のある商品では特定の時期に増産されるため、残業が増える傾向にあります。例としては、夏前から夏にかけてのエアコンや清涼飲料水、お中元・お歳暮で特需が発生するハムなどの加工食品やビール、お菓子などが挙げられます。また、新製品を発売する場合には、現行商品に加え新製品の生産がプラスされるため、残業が増加する傾向があります。最近ではSNSなどで急激に人気が出るなど、予期せぬ需要拡大もあります。その場合は人員確保までの期間は既存社員で対応する必要があるため必然的に残業時間が増えます。

慢性的な人手不足

少子高齢化が進み、日本の中小企業65%が慢性的な人手不足を抱えていると言われています。製造業においても同じく人手不足が続いています。
高度な技術や経験を必要とする職種はもちろんのこと、経験やスキル・学歴を必要としない軽作業においても「工場の仕事はキツい」といったイメージから敬遠され、結果人手不足に陥るといった状態となっています。
そのため既存社員で必要生産量を確保することから、残業時間が増加しています。

設備やラインの生産能力不足

社員の残業時間が増える要員として、生産設備や生産能力が不足している場合もあります。大手企業であれば需要に合わせて設備を増強しますが、中小企業では容易にできない場合もあり企業にとっても悩みの種となっています。
大手企業でも需要の急激な増加の場合には、生産設備の増強が間に合わず受注数を生産するまでに多くの稼働時間を必要とするため、残業時間が増えやすくなります。

工場の生産計画

設備のトラブルや歩留まり率の低さ

生産設備にトラブルが発生した場合には、設備のメンテナンスや確認のために稼働を止めるタイムロスが発生し、取り戻すために残業稼働が必要になります。生産工場では、定期的なメンテナンスや確認などは日常行われているため滅多にないことではあるものの可能性はゼロとは言えません。
また歩留まり率(生産品の良品率)が低い場合は、納期に間に合っても納品できないケースもあり、追加生産が必要になります。

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残業時間の上限はどのくらい?

労働基準法では、
・労働時間=1日8時間※週40時間以内
・週1日以上の休日
が定められており、それを超える労働を行う場合には、労使で【36協定(※1)】を締結する必要があります。

2019年・2020年の働き方改革(※2)によって、時間外労働(残業時間)の上限は
・月45時間
・年間360時間
に定められました。

また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)にも
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
・時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内
・時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度
を守るよう定められています。

※1 厚生労働省「36協定とは」
※2 厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

工場の残業は強制?工場は残業有りきって本当?

36協定を締結することで月45時間・年間360時間までが可能となる残業。高い給料を稼ぎたい人にとって、給料25%アップの残業は歓迎したいものでしょう。
反対に、仕事とプライベートのワークライフバランスを重要視する人にとっては、残業はできればしたくない、残業はイヤだと思う人も少なくありません。
会社から残業を依頼された場合、何があっても残業をしなければならないという強制力はありません。ただし就業規則や雇用契約書などで明確に記載がある場合には、ただやりたくない、だけで断り続けることはできません。やむを得ない事情がある場合は断ることもできますので、上司に相談してみましょう。
工場の製造工程では、生産計画が予定通り進んでいない場合や急な増産に対応する場合は残業をしなければ間に合わない場合もあります。
「工場作業は残業ありき」のイメージがありますが、働き方改革によって残業は減少傾向にあり、工場によってはノー残業デーが設定されている場合などがあります。

結局のところ製造業は楽?それともキツイ?

他業種の残業時間の比べると、製造業の残業が決して多くないことから「製造業がキツい」といわれる理由が残業時間にあるとは言い切れません。
以前にも記事にしていますが、ここで改めて製造業は楽なのか、キツいのかを簡単に解説していきます。

製造業が楽と言われる理由

業種・職種により作業内容が異なりますが、ベルトコンベアで流れてくる製品を見て検査するだけの「目視検査」や軽量部品のピッキングなどは比較的楽な作業と言えます。最近ではシフトの組み方を見直すことで主婦(夫)向け時短勤務なども取り入れられており、扶養内で働きたい主婦(夫)に人気の高い作業です。

製造がキツイと言われる理由

製造がキツいと言われる理由はいくつかありますが今回の「残業」の観点から解説します。
3交替などのシフト勤務では、体が交替シフトに慣れるまでは大変なようです。作業自体は簡単でも、準夜勤や夜勤に慣れるには少し時間を要します。
さらに増産の場合には、体が慣れていない上に残業になるため「製造業はキツい」と思う人も少なくありません。
シフト勤務の職場では、仕事に慣れることを優先して入社当初は固定勤務、その後シフト勤務にするなどの配慮をしている職場もありますので応募の際には確認をしてみましょう。

製造業でも快適に働くことは可能

体が慣れるまではキツいと言われる交替シフトの仕事でも、キツいことばかりではありません。22時から翌朝5時までは、基本時給の25%増しで給料が支給されますので日勤勤務だけの仕事より稼ぐことができます。
働き方改革が施行された現在では、残業時間の上限も決められていますので、簡単な作業で稼げる仕事に就くことが可能です。

さらに、空調完備の工場も増えており一年中快適な温度で働くことができます。

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まとめ

今回は製造業の残業時間について解説しました。
製造業の残業は、業種別に見ると多くはないものの急な増産や新製品発売などの理由から残業が多くなる原因も知ることができました。
解説の中で「36協定」という専門的な言葉もでてきましたが、製造業だけでなく一般企業でも取り入れられている場合もありますので、しっかりとチェックしておきましょう。